「ふぬぬぬぬっ!」



「ちょ…っと待て。な…んで瑞季が必死になって…んだ。」



「悔しいぃいいぃ!!」




苦しいながらにも絞り出すように声を出すと瑞季が余計に首を絞めてきた。




え。これ危ねぇんじゃねぇ?



首がおかしい音立ててるって。ギギギギいってるって。




これは瑞季にマジで殺されると悟った俺は、瑞季の腕を叩いて


「ギブギブッ!」


と声を荒げる。




すると瑞季は、俺が苦しがってるのがやっと分かったのか手をすんなりと離してくれた。




はぁ……。


マジで死ぬかと思った…。



一瞬、川の向こう側に二年前死んだ筈のじーちゃんが見えた。


しかもちゃんと


「渉~!」


って元気そうに手ぇ振ってた。




あっぶねぇ。と言いながら瑞季に目を向ける。



すると、瑞季は両手で自分の顔を覆って俯いていた。




…おいおい、さっきから色々と怖ぇよ。



そう思いながらも瑞季の肩に恐る恐る触れる。




「瑞季?」



「……何で私より先に告白なんかしちゃうのよぉおおぉおお!」



「ぎゃあああぁああ!!」




俺はこの日、妖怪を見た。

瑞季という名の妖怪を。