「あの時、凄く嬉しかった。でも、信じられなかったの。
渉があの女の子とキスしてたのを見て…。」
「…ん?」
ちょ、ちちちちょっと待て。
「今何つった?」
「だから、昨日女の子とキスしてたじゃない!」
「…………はぁああん?」
俺の声が部屋いっぱいに響き渡る。
キスって…キスって…
「いつ俺がしたっつーんだよ。」
瑞季から離れてベットの端に腰を掛ける。
あぁ、萎えた。
「渉から近付いていってキスしてたじゃない。」
布団で胸を隠した瑞季が俺の隣に座ってギシリ、ベットが軋む。
…いつ俺から近付いた…?
頭を傾げて昨日のあの時を思い出す。
確かセフレでもぃぃって言われて…………
「あ。」
思い出したと同時に顎に当てていた左手をパチンッと鳴らす。
「ほらね、やっぱりキスしたんでしょ。」
そんな俺の様子を瑞季が横目で軽く睨みながら口を尖らせる。
…怒んのか拗ねんのかどっちかにしろ。
瑞季に対抗するようにして俺も瑞季を横目で軽く睨む。

