「だって、しつこいんだもの。あの男。」
そう言った遠藤は本当に嫌そうな表情をしていた。
「だからって俺を巻き込むな。」
「とか言いながらちゃんと中村に私達が付き合ってない事、言わないでくれたじゃない。」
「…。」
こいつ、結構痛い処突いてくるな。
「はぁ。」
「あ、またため息ついた。」
「「倍、息吸えばぃぃだろ。」」
「あ、ハモった。なかなかだったでしょ?」
ニヤッと笑いながら俺を見上げる遠藤に、フッと小さく笑った。
真似すんなよな。
「あ、笑った~。ねぇねぇ…」
「何だよ。」
「私とこっそり脱け出さない?」
「は?」
この時、何処の定番ドラマかと思った。
「だってこの飲み会、つまらないんだもん。」
ねぇねぇ。と詰め寄ってくる遠藤に断る理由が別に無かった俺は、
気が付けば遠藤の意見に賛成していた。

