「そういう事か!ではこの試験は無効だ!」

性格の悪いおじいさんが声を荒げ騒いだ。

「待ちなさいラルス。“彼”は風をほんの一瞬止めただけだ。あのホワイトタイガーを呼び出したのはまぎれもなく彼の力だよ」

優しそうなおじいさんがにこにこと笑って、性格の悪いおじいさん『ラルス』に言った。

「しかし!ユランジェ様、奴は…」

「わしの意見に意義があるかね?」

優しそうなおじいさん『ユランジェ様』はラルスを笑顔のまま見据えて言う。

「いえ…何も…」

ラルスはあきらめたようで下を向いてため息を吐いた。

「さて、強大な力を持った君の猫はどのランクにふさわしいのかな?」

ユランジェ様は私の顔を覗き込み微笑んだ。

「あの…えと…」

答えに困った私の後ろでポンッと軽く何かが弾けるような音がして、私の肩に何かがのしかかってきた。

「わぁっ!?」

「Sランクにしろよ」

私の耳元で男の子の声がした。