生意気悪魔

「三代子ー!ディナーラッシュ入ったぞー!手伝いに来てくれー!」

それは十伍の父親の声だった。

「おや、もうそんな時間かい。面接ならいつでも受けるからね!」

母親はそう言いながら片手を振り、店へと消えて行った。

それと入れ替わるように今度は父親が顔を出した。

何やら大きな紙袋をテーブルに乗せ、彼はニカッと笑った。

かなり重いものらしく、どすんと鈍い音を立てて紙袋は揺れた。

「これ、今日の夕飯とちょっとした保存食な!ラリアちゃんも大変だとは思うが頑張れよ、辛い時は助けるからちゃんと言うんだぞ?」

彼はそう言って私の頭を撫でた。

「ありがとうございます」

思わず“お父さん”と言いそうになってぐっと堪えると、涙が滲みそうになった。

それを悟られないように私は目を細めて笑った。

父親も母親と同じように片手を振り、店へと戻って行った。

紙袋の中を見るとサラダと瓶に詰められたたっぷりのミートソース、乾燥パスタと数種類の缶詰が入っていた。

「こんなにたくさん…」

私が申し訳ない顔をしていると、十伍が隣まで来て私の肩に手を置いた。

「今日食材買いに行けなかったしさ、オヤジに頼んだら任せろって言ってくれたんだ」

「よかったな」と私に彼は笑いかけた。