生意気悪魔

確かに彼女の食べる勢いといったら、息をするのも忘れて食物を口に押し込むようで、むせないはずがなかった。

よほどお腹が減っていたのだろう。

「にしてもこのべっぴんさん。なんだってこんなとこまで来ちまっちゃったんだろうかねぇ?」

店の表と裏をつなぐ扉から十伍の父親が顔を出した。

「ちょっと!店の方見ててくれって言ったでしょ?」

「いやーちょっと気になっちまってねぇ…」

頭をかいて笑う父親。

本当に十伍のご両親はいい人たちで羨ましい。

私が夢に描いていた家族像そのものだった。

私が彼らを見つめていると、あの女の子が私の服の裾をつかんだ。

さっきはまぶたを閉じてて気が付かなかったけど、青く透き通る綺麗な目を私に向けていた。

「あー…」

「え?」

彼女が何かを喋ろうとしているのはわかるが、その意味がわからない。

「あー!あー!」

その後も必死に彼女は私に何かを訴えかける。

私も必死に理解しようとするがやっぱりわからない。

十伍達にも意見を求めたが、いい答えは返ってこなかった。

「あなたもしかして話せないの?」

私の言葉に彼女は今にも泣きそうな顔をする。