生意気悪魔

「ケイトってあの猫の?」

私は後ろから抱きついている少年から離れて、その姿をよく見た。

真っ黒な髪には何本か白のメッシュが入っている。

目は猫目で黄色に中心が黒。

右目の下には涙ぼくろ。

口元は悪戯が大好きな子供のように少しにやついている。

その口からちらりと見える犬歯だけが獣を連想させた。

すらりとのびたスタイルのいい体は私より頭一つ分以上に大きい。

どう考えてもこれがあの猫だとは思えない。

ラルスも私同様にユランジェ様の言葉が信じられないようだった。

「なんだよラリア?俺がわからなっかたの?さーびしーなー」

ニヤニヤと笑った彼はまた私に抱きつき耳元でにゃぁんと鳴いた。

「わっ!?ちょっ…重い!」

ありえない!

目の前にいるのは高校生くらいの男子だ。

さっきまで私の足元にいた猫だなんて信じられない…

「さて、少年。君にはSランクに入る資格があるのかね?」

「あるよ?」

ケイトはまたさらりと言い放った。

「ほう。ならば証拠はどこだね?」

ユランジェ様は長い立派な髭を撫でてほほえむ。

その言葉にケイトはにやっと笑った。