「え!?あなた誰!?」

「ほう。それはなぜかね?」

私の疑問を無視してユランジェ様は“彼”に話し掛けた。

「俺、強いから」

“彼”は親指で自分を指差してさらりと言い放った。

「おまえ!何様のつもりだ!ユランジェ様に敬語も使わずに…っ!」

怒り狂うラルスをユランジェ様は右手で制して微笑んだ。

「よいのだラルス。少々黙っておれ。」

「しかしユランジェ様!…んっんぅっん!?」

突然ラルスの口はチャックを閉められたように動かなくなった。

「じいちゃんが黙れって言ってんだから黙れよ?俺が何様かって?俺は俺様だ!」

“彼”は少しふんぞり返って威張った。

「ほっほっほっ…君はおもしろいことをするのぅ」

ユランジェ様は笑った。

「んむんんんぅんむん!(お前は何者だ!)」

ラルスはまだあきらめずに声を上げた。

「二人ともわからんのかね?『彼』は『ケイト』だよ」