「全く……。手ごわいのに南条くんも好かれちゃったものね………」


しみじみと廊下の窓枠に手を乗せあたしを見てくる親友の麻衣。


「そこで見てたのなら、少しは助けてよ」


「や~よ! 巻き込まれるのはまっぴらだもん!」


親友だと思っているのはあたしだけかもとこんな時は思ってしまうあたし。


それにしても、さてさてこれからどうしたものか………。


あたしは今のことを思い出しただけで頭が痛くなりそうだった。


「それにしても、あの香取さん。考えたわね………。美優に言わせることによって、自分が振られたとしても、その振られた理由を美優のせいにできるじゃない」


「はあ? なに、それ。そんなので、あたしに隼人に気持ちを言って欲しいって言ったの?」


「そうでしょ……。それに美優思いの南条くんだから、美優から言ってもらうことでもしかしてなんて淡い期待も持ったんじゃないの?」


「せ、せこいっ! そんな風に立ち回って付き合ってもらってなんの意味があるの? あたしには全くの意味不明だよ」


どんどんと怒りがでてくる。


「美優はまだまだお子ちゃまね……。男女の付き合いなんて所詮そんなものでしょ。うまく立ち回れる子が掴みたいものを掴めるのよ」


物知り顔で言う麻衣をじと~っとした目で見る。


麻衣の言うとおりだとすると、あたしなんて絶対に掴めないんだろうな。


うまく立ち回ることなんて絶対に無理だもん。


どっちかというと不器用だから、立ち回ろうとすればするほど悪い方向へと行く気がする。