「こ~らっ! 何、辛気臭い顔をしているのよっ!」


自分の席に座り、ボ~ッと外を見ていたら、いきなりコツンと頭を叩かれる。


「麻衣………」


「もう、終わりのHRも終わったよ。このまま、じ~っとして学校にいるつもり?」


「え………?」


教室の壁にかけられている時計を見ると、もう終わりのHRが終わってからすでに15分が過ぎていた。


周りを見ると、残っている生徒もほとんどいなくて、傾き始めた太陽の陽射しだけが教室に射し込んでいた。


「全く………。何、ボ~ッとしているわけ? まだ、覚醒しないの?」


未だにボ~ッとしているあたしに麻衣が目の前で手を振ってきた。


「もう、大丈夫だよ。ちゃんと覚醒したから」


それだけ言うと、あたしはへへへと笑いながら席を立つ。


「無理に笑わないの。そんな顔していてもすぐにばれるんだから。もしかして、香取さんのこと気にしてるの?」


麻衣は本当、なんでもお見通しなんだから。


苦笑するあたしを見て、麻衣は「ハァ~…」と声にだして息を吐いた。


「美優は優しすぎなの。そんなに深く考えなくてもいいんだって」


そうは言われても、気になるものは気になるし………。


あたしは何も答えずにただ俯く。