「本当だよ。だから、もう泣くな。」






「……は、ぃ。」






そう言いながら何度も頷いていると、先生がもう一度私を強く抱きしめてくれた。






「ん?あれ?お前また熱上がってきたな。だるくないか?」






「えっと、ちょっとだけ…でも、さっきよりは大分楽になったので大丈夫です。」






「いーや、お前の大丈夫は大丈夫じゃない。おら、熱測るぞ。ちょっと待ってろ。」






少し怒った口調でそう言うと、先生は体温計を取りに奥の部屋へと入っていった。






…その時、タイミングよく私の携帯が激しく振動した。






「えっっ………」






着信相手は予想外の相手で、お母さんだった。







なんでだろう、まだ18時なのに。






いつもは深夜にしか帰ってこなくて、連絡すら来ないっていうのに。






何で先生といる時に限って連絡してくるの?






そう思いながらも、電話を無視する事ができず、恐る恐る通話ボタンへと手をかけた。