先生と教官室





大股で歩く先生についていけず、小走りで必死についていく。






「あれ、でも横に女いるじゃん。」






聞きたくなくても入ってくる女の人の声が、グルグルと耳に響く。






「片瀬、行くぞ。」





女の人達の言葉に引き付けられ、少しずつ足が止まっていく。






それに気づき、さっきよりも強い力で私を引っ張る先生。






聞きたくない。





でも、身体が勝手に聞こうとする。






「はぁ?あはは、あんな子供は女って言えないでしょ。兄妹とかじゃないの?」






「あーなるほどね。」






やっぱり、周りにはそう見えるんだね…。





でも、女に見えないまでとは、想像以上だったなぁ……。






「片瀬、行くぞ!!」






先生は強い力で私を引き、その場から無理矢理離れさせた。






こんなに必死になるってことは、先生はさっきの事を言われるって解ってたのかな?







『あんな子ども…』






周りの人が思う通り、私は子供で先生は大人。






釣り合う訳がない存在同士。







「もう……いいや………。」






そんな事解ってはいたけど、いざ言葉にされると流石にキツイ……。






「おい、どうした?」






「…すみません、体調が悪いので帰ります……。」






「ちょ、かた…伊緒!!」







いろんなことが頭をグルグルして、気持ちが悪い。





何も考えたくない、何も聞きたくない。





ただただその場にいるのが嫌で、走ってスーパーの出口へと向かった。