「伊緒……。」
先生の声に反応し、顔を上げる。
すると、先生が真っ直ぐ私を見ていた。
お互い真っ赤な顔をしながら見つめ合う。
静かな空間に聞こえる時計の秒針の音が、少しずつ自分の鼓動と重なる。
この鼓動は私のかな…それとも、先生の…?
真っ赤な顔をする先生の頬に触れたくて、恐る恐る手を伸ばす。
「せん………」
「はい、そこまでですよー。」
「「!!!!!!」」
二人だけしか居ないはずの部屋で、二人以外の声が響く。
驚きながらも声がした方を振り返ると、そこにはよく知る人物が立っていた。
「し、進藤先生…。」
いかにも面倒くさそうにドアにもたれかかり、腕をくみながら私達を見る進藤先生。
いや、あれは面倒くさいのではなくて、怒っているのか?
うーん、全く表情から気持ちが読み取れないなぁ…。

