「…緒、伊緒!!」
「ふぇ!!?」
「ふえじゃないでしょ?人の話聞いてんの??」
やっばい、今昼放課だった。
「ごめん、ごめん、何だった?」
「だーかーら、甲田先生って彼女いるの?って話!!」
『彼女』………?
そっか、彼女か。
考えた事もなかったな。
「さぁねー、まぁ顔はいいし、い、いるんじゃないの?」
「「「うわー興味なさそー。」」」
「あるわけないじゃん、先生なんかに……。」
私はいつも先生の事を冷たく言って、『先生が嫌い』というオーラを出している。
この3人を信じていないわけじゃない。
むしろすごく信じてるし頼りにもしてる。
でも、どうしても先生への気持ちを知られたくないんだ。
この気持ちは、私ひとりが自覚できていればそれでいい。
それぐらい大切な気持ちに思えるものなんだ。

