先生と教官室






門を出て二人で帰っている途中、突然詩衣の携帯が鳴った。






「あ、お母さん?うん、うん。え!?」





……嫌な予感。





これは、早く帰って来い的な連絡かな?





会話を終えパタンッと携帯を閉じた後、詩衣はゆっくりと私を見た。





「伊緒ー、ほんとごめんっ!!」





あ、予想的中かな。





「直ぐに家帰らなきゃいけない用事ができちゃって…一緒に帰れない。ごめん!!」





「うん、解った。気を付けてね。」






「あ、傘持ってきなよ。私濡れても平気だからさ!!」






「何言ってんのっ詩衣の傘でしょ。私は大丈夫だから、ね?」






「…うん、解った。でもさっきも体調悪そうだったし、帰り道気を付けてね。」






「うん、ありがと。」






「じゃぁ、私行くね。ばいばいっ」






そう言って、詩衣は走っていった。





あの様子じゃ相当急ぎの用なんだろうな。







ザ―――――――ッ





さっきよりも強い雨が、身体を刺してくるようで痛い。







「……帰ろ。」