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「香菜!」




放課後の教室。


ひとりでいるあたしの元に聞こえてきた大好きな人の声。


ドアを見ればそこには愁くんの姿がある。




嬉しくて近づいてくる愁くんを蔓延の笑みでみるあたし。








あの後。

愁くんに話を聞くとそれはあたしの勘違いだってことが分かった。



あの女の子に告白されたのは本当だけど、それはちゃんと断っていたって。


でも。

その子に聞かれたって。




『池田さんのことが好きなの?』



って。





 池田……。


それはあたしの名字で、あの時聞いてしまった愁くんの言葉は告白の返事なんかじゃなくって……

 


あたしのことを 好き と言った愁くんの言葉だったんだって。





それが分かったとき……溜まっていたものが溢れだすように、また泣いちゃったんだよね。