あ。

どうしよう。


こんなこと考えてたら…また涙が出てきちゃうよ。



「香菜…。なにが合った」


まだ…あたしの顔に手を添えたままの愁くんがそう言った。





だめ。


優しくなんかしちゃ。



愁くんに優しくされるとほんとに泣いちゃいそうだよ……。






―――ガタン


このままじゃ泣いちゃうかも。




「香菜。どうしたんだよ」




急に席を立ったあたしに戸惑っている愁くん。



なにも言わないで俯いてるあたし。





…なにか、なにか言わなくちゃ。



「なんでもないよ愁くん」




あたしは無理やり作った笑顔でそう言った。




「違うだろ」