「………ひっく」
あの後、痴漢から助けてくれた男の人に手を引かれ知らない公園のベンチに、数十分くらい座っていた。
ようやく、アタシが泣きやんだ頃、男が話かけてきた。
『大丈夫か?』
アタシは、黙ったまま頷いた。
『高校生・・だよな?学校は?』
「今日、寝坊しちゃって‥今から行くとこだったの‥」
『そうか。今日は、休んだ方がいいと思うが…行くのか?』
「いいえ、今日はもう帰ります。」
『なら、送って行くよ。車持ってくっから待ってて!』
「別に、気にしないで下さい!あと、助けてくれてありがとうございました。それじゃ..」
そう言って、帰ろうと歩きだした時、後ろから彼がアタシの手を引っ張った。
え??
『いいから乗って!また電車乗って帰るんだろ?危ないし、俺何もしないから信用して?』
この人・・
なんでこんなに、
アタシなんかに優しくするんだろ…
そんな疑問を抱いていたけど、アタシは彼の言葉を信じて、送ってもらう事にした。
