しばらく月を眺めていたが、治まる気配のない身体中の痛みから逃れようと、僕はまた、目を閉じた。

眠れるとは思っていなかったが、よほど疲れていたのか、すぐに頭の中に靄がかかった。

『気分はどうだ?』

もう少しで、墜ちて行ける所で、見計らったかの様に、足元から声が響く。
特徴のあるその声に、僕はびくりとして飛び起きた。

同時に、全身に痛みが走ったが、そんなのはどうでもいい。

聞き慣れた、含み笑い気味のその声を聞いてなお、余裕で寝ているなんて、僕に出来る筈も無かった。