そして僕は恋に墜ちた

僕は安心感から、ほぅと息を吐き出した。

『アリス…起きて』

一秒でも早く、アリスの声が聞きたくて、僕はアリスを揺すってみる。

僕の声に反応したのか、瞼がぴくりと動いたが、目を覚ます気配は無い。

『アリス、起きなよ』


さっきより、少し大きな声で呼んでいると

『…起こすな』

と、少し先で、低い声がした。

その声に、僕は顔を上げる。


大悪魔は、壁に背を預け右足を立て、左足は前に投げ出して、座りこんでいた。

いつもとは違う疲れ切った表情で、だけど普段と変わらない目で、こちらを見ている。