『定休日 火曜日』


店のドアにはそう表示されていた。

そして本日は火曜日。

今やっと思い出した……。

火曜日はこの店、休みだったんだ……。

なんなんだろうかこの絶望感は。

持てるだけの力……そう、まさに死力を尽くしてラスボスを倒したら、

その直後にラスボスを上回る力を備えた黒幕……そう、真のラスボスが登場して一瞬にして返り討ちにされたような絶望感。


「なんで火曜日に有給休暇なんか取ったんだろう……」


本当は嘘で、俺が店に入ったら急にクラッカーが鳴り響いて


「ドッキリでしたー! 驚かせてゴメンね! いつもありがとうねリョウスケ君! さあ今日は無料でサービスするよ!」


なんてオヤッさんが出てきて……なんてことあるわけ無いよなあ。

くよくよしてたって仕方が無い。ここは切り替えなければ。そうして生まれてから二十年間もやってきたんだ。


「豪勢にステーキでも食おうかなあ! ハッハッハー!」


またしても蓄積したストレスを発散する俺。これで上手く切り替わるさ。

給料日前だけどそれなりに貯金があるから大丈夫だ。この際。うん。飢えた胃袋に詰め込めさえすればいい。


すると店の側面にあるドアが開き、見慣れた顔の熟女が現れた。


「あら、ごめんなさいねリョウスケ君」


その人はオヤッさんの奥さんだった。