もしや移転したのか? いや、違う。

思い出すんだ!

俺はまぶたをゆっくりと閉じ、最近のことを思い出し始めた。

こういった時は焦りから変に力が入ってなかなか思い出すことが出来ないが、思いつく関係の無いことから連結させていけば大丈夫だ……。

大丈夫だ、俺。必ず思い出せる……。

そういえば自分の忘れっぽい悪癖は自分の世界に入りこんで集中を損なっているせいだと思い続けていたが、ここまでくると単純に記憶力が無さすぎるだけなんじゃ無いだろうか。

きっとそうに違い無い。うん、そうだ。


「ああっ! 思い出した!」


何気なく自己分析を始めたら眉間のあたりに黄金色の大きな稲妻が走った。

その稲妻は暗闇に包まれた大地で絶望を味わっていた俺の周囲と進むべき道を鮮やかに照らす。


「昨日だ! 昨日食べたんだ! 昨日の昼に!」