「う~、時間が気になる……」


自分の不甲斐なさを痛感してげんなりする俺。


「あっ、そういえばケータイ見ればいいじゃん」


ケータイの存在を思い出してやる気を取り戻し、胸のポケットから取り出したケータイで時間を確認してみる。


が、画面は真っ黒のまま動かない。

これが噂に聞く電池切れというものだろうか。うん、そうだろう間違い無い。

俺は腕時計を忘れ、ケータイの充電までも忘れていた。


「もしかして俺ってダメ人間なのかなあ!ハッハッハー!」


俺は蓄積したストレスを吐き出すかのように叫び散らす。

歩行者はジロジロと俺を見ているが恥ずかしさは感じない。

こうなったら問題はただひとつ。

それはいち早く行きつけの店にたどり着き、美味いラーメンをすすることのみ。

だが平静を保たねばならない。焦ってスピードを上げ、人と接触事故を起こしてしまったりすると大惨事に発展するからだ。

ゆっくりとペダルを漕ぎ、いよいよ店が近づいてくる。

ここを左折すればラーメンだ。ラーメンだ。ラーメンだ。

ラーメンラーメンラーメンラーメンラーメン……。


「あれっ!? 店が無いアルネ!」