こんな時だからこそ美味い物を食いたい。

死ぬほど腹が減っていればたとえ不味い物でも美味いと感じるのだから、美味い物であれば体感する美味さは想像を絶する。

それはきっと、美味くて美味くて寝る時に思い出し笑いしてしまうほどの素晴らしき嬉しさがあるはず。

俺は行きつけのラーメン店に行こうと決めていた。

そこのラーメンは素晴らしく美味い。

味を山で言い表せば間違いなく富士山だ。

ネットでの評判は高いのだがまだその味を知らない人が多いこともあって混むことがほとんど無い。

まさに今の俺にうってつけの店だ。

店は信号をみっつ越えて左折した所にある。


「ああ……っ」


信号が『青』から『赤』に変わった。

そういえば信号待ちしていたのだった……。

また俺の目の前を自動車が次々に通り過ぎて行く……。