「あ!今月のオススメバンド、Wild Heartなんですねー!」
そこにはWild Heartのメンバーのシルエットと、細やかなメンバー紹介の文字が書いてある。
ドラムのRyu、キーボードのKomi、
ベースのAndy、ギターのSo、
そして、ボーカルのTetsu。
Andyって外国人なのかな…。
なんてくだらないことを考えてたら
小林さんの呆れたため息がした。
見上げると彼は眼鏡を外したときにするかのようなポーズをしてゆっくりと首を横にふった。
「そこもだけどー、その横!華音ちゃんに見てほしいのは!!」
ブラックボードの横に一回り小さなコルクボードがたてかけてある。
そのコルクボードに貼ってある写真は
逆光で顔がよく見えないが、
ギターをぶら下げながらスタンドマイクを持つ髪の長い女の子だった。
あたしは、なぜかこの子をよくしっているような、そんな気がした。
…のも当たり前だ。
コルクボード全体に目をやると、
そこには大きく、"Kanon"と書いてあったのだから。

