低い声がその人から放たれた。
頭を右手で押さえている。
そして音の瞬間あたしの背中にも振動が伝わった。
……と言うことは…?
「もしかして、ギター…、あたりました?」
きっとあたしの背中に背負ってるこのギターが彼の後頭部にあたったんだ。
「あ、ああ」
くるりと体をこちらに向けたそのギタリスト。
焦げ茶色で適度に盛られた髪にシュッとした目、通った鼻筋、薄い唇。
ふわっと香る香水。
い、イケメン……!
…じゃなくて!
「ごめんなさい!大丈夫ですか?」
「ん、大丈夫。それより、お前のギター傷ついてない?大丈夫?」
「大丈夫です!あ、スタジオ使いますよね?がんばってください」

