「じゃあ紫御は俺と遊ぼうぜ!」
「遊ばねえよ、帰れよ」


なんだかんだ仲いいんだよね、
この2人はさ。


わたしだって負けてんかいられないもん!!

急いで身支度を済ませ、
それぞれのインターホンを鳴らす。

だが、帰ってくる言葉は決まって同じだった。


「ごめんねー、あの子帰ってないのよー、後で伝えとくね?」


約束の時間まであと4時間、
携帯の画面はちょうど9時へと変わる瞬間だった。



「この時間なら…」

そう、小林さんのとこのスタジオの開店時間なはず。
練習をすっぽかした反省として3人で練習しているかもしれない。

と、淡い期待を抱いていたが、
それはあっという間に崩された。


「おはよう、華音ちゃん、はやいねー!」


朝から妙にハイテンションな小林さんはわたしがスタジオに駆け込んだ事情を察したらしく、すかさず、


「彼等ならきてないよー」

と付け加えた。


「ところで、華音ちゃん!これ見て!」


小林さんの嬉しそうに指差す先にあったものは、毎月オススメのバンドを紹介するブラックボードだった。