「あー、メンバーみんな約束すっぽかすから…!」


「大変っすねー」


あはは
と軽く笑ったが、ほんとはそれどころではないくらいだった。


「あ!これ知ってますか?噂らしいんすけど、Rainbowが近々デビューするらしいんすよ!」


「え」


「なんか偶然Rainbowの演奏を聴いたレコード会社の社長さんが聴き惚れたらしいんすよねー」


「へ、へえ~?」


そんなこと聴いてない!
てか何でメンバーのあたしより
この人の方が詳しいのよー!


「だから近々デビュー!俺、kanonのギターめっちゃ好きなんすよねー、早くCDで聴きたい」


夢中になって話すその彼は第一印象とは全く違う印象になっていた。


どこまでもギターが好きで、
憧れのバンドを追っかけて、
これを青春というのだろうか。


「Rainbowのkanonて、どういう存在なの?」


バカみたいな質問。

でも、自分がそのkanonであるからこそきけるのかもしれない。


「kanonのギターは、俺の道標。一生の憧れなんだよね、kanonもRainbowも」


目を細めて笑うその姿。

いつか見たことあるような優しい笑みだった。


「道標かあ…。あたしもね、Rainbowが大好き」