別にいーよー。
林さんにスタジオ貸してもらおうっと。
今に見てろよっ!
あたしは急いで部屋に戻ってギターケースと財布を持って家を出た。
正面から吹く風が心地よくて思わず目をつむる。
「林さあん!うちのメンバーみんな自己チューなんだけど!だからスタジオかして!」
自動ドアをくぐり抜けた途端、弾かれるようにカウンターへ飛びつき、そんな言葉が自然にでてきた。
びっくりしたような顔つきになっていたが、翔君と同じように少し眉を下げ、困ったように笑った。
「華音ちゃんも大変だねー。いいよー、1つ小さいの空いてるから特別にタダね!」
さっすが物わかりがいい!
「あざまーす!」
「あれ、この前の…?」
スタジオの鍵を受け取って向かう途中にRainbowを憧れと言った
あの男の子がいた。
「今日は1人っすか?」

