「はい、今日は全メンバーで…!って言っても男の子ばっかりなんですけどね…」
「それじゃあ、俺が憧れてるバンドと同じっすね。俺んとこなんか全メンバー男っすよ?」
口元がくいっと上がって優しい笑みをこぼした。
その笑顔につられてあたしも笑った。
昔、そんな笑顔を見たことがあるような気がした。
「憧れのバンドに少しでも近づけるように俺も必死で練習しなきゃなー」
そう言って大きく伸びをする。
「憧れのバンドかあ…」
「君にはそういうバンドないの?」
「さっき林さんに教えてもらったとことかかなあ。それじゃミーハーかなっ?」
クスリと笑ってみる。
ミーハーはあたしとしても嫌だなあ。
「あ、俺もさっき林さんにいい感じのバンド教えてもらいましたよ?憧れのバンドってその人たちだし。
なんかCD聴いたら揃った音とボーカルの声にグッときちゃって…!」
今日の準や敦やコウみたいに
彼の瞳もキラキラと輝いていた。
「頑張ってRainbowみたいな演奏ができるようにしないと…!じゃあ!」
……ん?
Rainbow?Rainbowってあの?
バッと彼の方を見たが、もう自分たちの練習に戻ったらしく姿は見えなかった。

