『真依夏さ~好きな人出来たっぽい。』


休み時間,いつにも増して可愛らしい顔をした真依夏が,
恥かしそうに呟いた。

『だれだれっ!?おしえてっ!!』

『んとね・・・真依夏の斜め後ろ。』


誰だっけ・・・えっと・・・あ!!!


『鬼頭秀介?』


私が答えると,真依夏はコクリと頷いた。


真依夏は,ロングヘアーが良く似合ってて,スタイルが良くて,
お人形さんみたいな顔立ちで,女の子らしくて・・・
まさに!男子の理想だと思う。


『私もね・・・出来たっぽい。』

真依夏に打ち明けよう。


『やっぱ絵理もいるの!?だれだれ~!!』



『アイツ・・・。』


私は,ドアの近くで男子と話す高井を小さく指差した。


『高井?・・・かっこいいよねぇ♪』


真依夏はいたずらに笑う。


でも,一緒に片想いする友達がいるって・・・

すごく心強いことだと思う。

嬉しいな。



『じゃ,お互い頑張ろうねっ。』


『隠し事は無しだよっ!!』


『オッケーっ♪』



真依夏との友情が深まった気がした休み時間。


今日放課後に,さおちゃんと3人で遊ぼうって言ってたけど,
さおちゃん急に,バイト入っちゃったんだって。
2人でクレープでも食べながら,恋バナに花を咲かせよう。
女の子にしかわからない,女の子だけの秘密の時間。
あんなに楽しい時間って青春じゃないと味わえないよね。


教室にチャイムが響く。
さ,ランチまであと1時間。がんばるか!!


先生が来るまでの時間,窓際の列で鬼頭と楽しそうに話す
真依夏を,私はずっと見ていた。
嬉しい気分になれた。

古典の授業ってマジでつまんない・・・。


高井はというと・・・隣で、教科書に隠れて
パンをほお張ってた。

懲りてないんだな・・・コイツ。

でもコイツらしくて、

そんなとこも何だか好きで、

クスっと笑えちゃう。


おっ!2個目のパンに突入。

ビニール袋開ける音、みんなに聞こえるよ。


クラスの皆も気づいたみたいだ。

でも皆そんな姿を見て、クスっと笑っていた。