「花火大会はあれだけどさ、13日は絶対一緒に過ごそうな」

電話口の屋良くんの声は、いつもより弾んでいる気がした。



「いいけど…、13日、何かあるの?」

「……記念日じゃん!」



もう、鼓膜が破れるんじゃないかと思うくらいの大きな声に、あたしは驚いた。

そして少し、こっそり、ケータイを耳から遠ざけた。



どうやらカップルには、記念日なるものが存在するらしい。

そしてどうやらカップルは、記念日を一緒に過ごす風習があるらしい。