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「陽菜ゴメンっ」

屋良くんからそんな電話がかかって来たのは、海に行ってから1週間が経った頃だった。



「花火大会、一緒に行きたかったんだけど…合宿でさ」

なんだ、そんなことか。

ゴメンだなんて言うから、一体何を言われるのかと思った。



毎年、8月のはじめは地元で大きな花火大会が催される。

「そっか、カップルになったら約束もしないで一緒に行くのが当たり前なんだね」

思わず感嘆の声を漏らす。



「当たり前、ではないかもだけど、俺は一緒に行きたかったのー」

珍しく、拗ねたような口振りの屋良くん。



「来年があるよ」

「……そっか。来年。来年も一緒。ずっと一緒」



単純な屋良くん。

あたしのその一言で、すぐに機嫌が良くなったらしい。