「私、どうしても、信じられないんだよね~。」

 
 「なにが~?」


 「篤司の事。」


 あの事件があった次の日、優美が、カオリの部屋に

来ていた。

カオリの部屋は、うすいピンクで、統一してあった。

ベッドカバーも、カーテンも、クッションも。

そして、小さなブルーのテーブル、その後ろに、

勉強机。

カオリと優美は、その小さなテーブルを

真ん中に、座っていた。


 「私も、びっくりしたよ!普通の強さじゃなかった…。

 でも、そのおかげで、私は、助かったんだけどね、

 優美、浩太から、なんか、篤司の事、

 聞いてないの?」


 「うん、浩太は、知ってたんだ。

 篤司は、表の顔と裏の顔があるんだって。

 同じ世代のちょっと遊んでる男だったら、

 篤司の名前は、誰でも知ってるって。あんまり

 よく理解できないけど、そうらしいよ。」


 「そうなんだ…。見かけだけでは、わからないね、

 でも、本当、あの時篤司がいなかったら、

 私、今、こうしていられないかもしれない、

 本当…よかった。」


 「そうだね、よかったよね、でも、私、亜美って女の事

 許せないわ!カオリだって、そうでしょ?」


 「うん…それが、思い出すと腹が立つけど、微妙なの…。」


 「?微妙???あぁ~、ジェラシーだよね、

 多分、カオリが、邪魔だったんだよね、

 わかるけど、私は、許せない!!!

 カオリ、亮さんの事は、どうするの?

 あきらめるの?」

 「……。」

”それにしても、カオリ、部屋だけは、乙女チックなんだね”