町はクリスマスムード。

まだ先なのになぁ、なんて思いながら足早に通り過ぎる。

11月。

「ミナミ!」

そう声をかけてきたのは、フランス人のクレール。

なぜアメリカでフランス人?

実は、語学学校に通い始めたのだ。

クレールはそのクラスメイト。

会話は基本英語。

だけどクレールは、たまにフランス語が出る。

大学のときに、ちょこっとだけかじったくらいのフランス語。

私には理解不能だよ…。

少し遅めのランチをとりながら、お互いにカタコト英語で会話。

「ミナミ、クリスマスは?」

「まだ決めてないよ」

「すぐそこなのに?」

「まだ1カ月も先じゃないのー」

「クリスマスの準備をするのが楽しいんじゃない!わかってないなぁ」

「そういうものなの?」

ちょっとしたカルチャーショックは日常茶飯事。

日本人であることを実感する。

クレールは、クリスマスに一度実家へ帰るらしい。

クリスマスは家族と過ごすものだから、と言っていた。

「恋人じゃないの?」

なんて質問をしてみたら、変な顔をされた。

あ、違うのね。

私は、日本に帰るつもりもないし…たぶん、悠ちゃんもそうだと思う。