すっかり夜は更けていた。

一日を寝て過ごしてしまって、ちょっと後悔していた。

せっかく悠ちゃんがお休みなのに。

「熱出したのなんて久しぶり」

「疲れが出たんじゃないの?」

「うーん…」

ここは正直に“うん”とは言えない。

結婚、引越しが大変だっただなんて…

「美波、あのさぁ…」

黙っていたら、悠ちゃんが先に口を開いた。

「もし、アメリカに行くことが美波にとって負担になるなら、日本に残ってもいいよ…?」

スプーンを持った手が止まる。

……え?

悠ちゃん、今…なんて?

なんて言ったの?

耳を疑う。

日本に残ってもいいよ、って?

「……なんで?」

「昔から美波がよく身体壊すのは知ってたけど、今回のことで、やっぱり…」

「付いて行くもん!そう決めたから、結婚したんじゃない!?」

悠ちゃんの言ってる意味がわからなくて、一気に涙があふれた。

また体調崩されたら面倒だから?

仕事に支障が出るから?

「ちゃんと…出来る限り体調管理するし!迷惑かけないようにする!だから…」

“置いて行くなんて言わないで”

最後は声にならなかった。

好きだから離れたくない。

だから、留学する前に結婚して、一緒に行こうって。

そういう意味じゃなかったの?

私の思い違いなのかな?