喘息の発作かもしれない…。

廊下に座り込みながら考えた。

こういう時、どうしたらいい?

実家に電話して薬を持ってきてもらうとか、甘えすぎかな?

悠ちゃんはお仕事中だし。

何度か続けて咳込んだあと、やっぱり実家に頼ろうと思って、ケータイを探した。

でも、

こういう時に限って、どこに置いたか忘れるんだよね。

落胆しながらソファーで一休み。

コンシェルジュさんに頼んで、連絡をとってもらうのも手かもしれないけど、大事になりそうで嫌だし。

どうしよぉ…。




そのとき、

玄関で物音がしたかと思ったら、悠ちゃんが帰ってきたのだった。

「美波、大丈夫?」

「ゆうちゃぁん…」

急に安心して、思わず泣いてしまいそうだ。

「熱測ってみた?」

「体温計がない…」

「えー?どこに置いたかな?」

そう言いながら悠ちゃんは、いきなり私を抱きあげた。

抱き上げるなり“熱い”って言われたけど、私は正直、ドキドキして熱くなった。

ベッドの上に下ろされて、一度髪をなでられる。

「きっと病院にも行かないって言うだろうと思って」

悠ちゃんが持って帰ってきたのは、大き目の往診カバンだった。

問答無用にパジャマのボタンを外されて、聴診器を当てられる。

その手つきは、夜ここで営まれる時とは違うけど…。

「喘息出てるんじゃない?」

「…そうかも」

「薬飲んだ?」

「それが…実家に置いてきちゃった」