「今回は薬変えてみようかな。1週間ほど様子見てもいい?」

「あ、はい…」

「ひどくなるようなら、早目に受診してくださいねー」

鳴海さんはニッコリと笑った。

病院は苦手だけど、こんな優しい先生なら大丈夫かも。

この雰囲気のせいかな?

いい人だし、お節介やきたくなる。

聞きたくてウズウズする。

「…あの、鳴海さん」

「うん、どうしたの?」

「浩哉くんとは…」

「うん?」

聞き返されて、言葉に詰まる。

えーっと…

やっぱり聞いちゃまずかった?

「仕事が恋人よ!」

「え…」

「なーんて笑えないよねぇ」

返答に困っていると、鳴海さんは相変わらずの笑顔で言う。

「…もしも縁があるなら、彼とやり直せるかもね?」

ってことは、今は全然連絡とってないってことかな?

「でも、ここで私と会ったことは彼には言わないでね」

「どうしてですか?」

「彼に迷惑かけちゃうから」

そんな風に言われると…

どうしようもない。

言いたくても言えない。

「じゃあ、また来週に診察の予約入れておくわね」

でも、こんな偶然って、やっぱり縁があるんじゃないかな。

そんな風に思った。