「悠ちゃんさ…なんか隠してない?」

唐突な質問に、首をかしげる。

それでも、私のただならぬ雰囲気に、悠ちゃんもお箸を置いた。

「なんで?」

「…あの日、あのパーティーの日…見ちゃったの」

悠ちゃんは何も言わなかった。

何を見たのかなんて、わかるでしょ?

「あのひと…だれ?」

しばらく沈黙が流れた。

そして、悠ちゃんは軽く咳払いしたあと、話し始めた。

「…あれは、高校のとき付き合ってた彼女だよ。今は医療機器メーカーに勤めてる。あの日は偶然会っただけだよ」

「ホントに偶然なの?」

「ほんとだよ」

「だったら…なんで…コソコソ話して、抱き合ってんの?」

元彼女さんがいたっておかしくない。

でも、普通あんな風に抱きついたりする?

おかしいよ。

「あれは…」

「今だって会ってるんじゃないの?」

「…それは、仕事で」

結局、会ってるんじゃないの!?

論文を書くのに忙しいとか言いながら、ちゃんと元カノさんに会って話してるじゃない。

私の知らないところで、二人で会ってるなんて…

「…悠ちゃんなんて嫌い」

口をついて出た言葉。

「美波、ちがうんだって…!」

「もういい!聞きたくない!」