霊感少年とメリーさん




一方、陽一の言葉を聞いた少年は、額に青筋を浮かべて問い詰めた。


『腐ってるのは、貴様の方だ!今朝、廊下で見かけた時、悲しそうな表情をしていた。あれはきっと、貴様にやましい事をされて誰にも相談が出来ず、一人で苦しんでたいたんだ。嫌がっている女に、いかがわしいことをするとは……この最低クズ野郎がッ!』

「いかがわしいのは、お前だよ!そのせいで、とんでもない幻覚見てるぞ!それに、お前どんだけメリーが大好きなんだよ!安心しろ。俺は、あいつの事を何とも思ってない」

陽一は、勝手に思い込みをしていちゃもんを付けてくる少年の誤解を解くために律儀に答える。

『嘘をつくな!あんなに可愛い奴を見ても、なんとも思っていないだと?本当は、好きで好きで仕方ないくそによッ!どうせ膝枕やデートとかして欲しくて、パートナーになったんだろが!』

「それは、お前の願望じゃあねぇかッ!今すぐ成仏専門に変わって、腐った脳みそ共々、あの世へ成仏させてやろうかッ?!」

ついに、苛立ちが沸騰点を超してしまいブチ切れてしまう陽一。そして、少年も成仏と言う言葉を聞きブチ切れる。

『貴様ごときが、この俺を成仏させるだと?成仏されるのは貴様だッ!』
「違う。成仏されるのはお前だ。俺には、まだやらないといけないことがあるんだよ…!」

陽一と少年は、竹刀と刀を構える。互いに睨み合い、さっきまで騒がしかった空気は無くなり、緊迫した空気へと変わった。そして、互いに口の端を上げる。

「『はぁぁぁーー!』」

互いに声を発しながら、互いに向かって駆け出す。一撃を狙い振りかざすが、竹刀と刀が激しくぶつかり合い、力の押し合いになった。

すると、少年は陽一の竹刀を見て何か気がついて、怪訝な表情をする。

『貴様、ボスに何かしてもらっただろ?』

少年は、陽一が竹刀で刀を受け止めている事に気がついた。おそらく、ボスに何かを与えてもらったんだろうと察した。

「そうだ。壊れにくい様にしてもらったんだ。残念だったな、簡単に壊れなくて。だがな、ボスから力をもらっていなくても、そのふざけた刀になんか負けねぇよ!」

陽一には、ある確証があった。さっき、穴を空けた床を思い出していた。もし、少年の持つ力が斬る力があるなら、床に刀傷が出来ている。しかし、床には大きな穴が空いただけだった。

おそらく、少年は壊す力を持っているのだろうと解釈をする。だからこそ、何故竹刀が壊れないのか疑問を持ち聞いてきたと、陽一は自分なりに解釈をしたのだ。

相手の特徴が分かれば、自分なりに戦えばいいと考えた途端。

『どうやら、コレに気がついていない様だな。可哀想な奴め』

少年は、力で押しのけて間合いを開ける。そして、陽一を哀れな目で見つめて鼻で笑った。その表情は、分からなくても当然だと自信に満ち溢れていた。

『おそらく貴様は、コレが木で出来た何の変哲もない刀だと思っているだろう。だが、コレは俺の力で作り出した物だ』

少年は、自分の刀を陽一に見せびらかす様に、刀を前に差しだす。

「それが、どうしたって言うんだ」

異形の刀の正体を教えられた所で、陽一は何とも思わなかった。