霊感少年とメリーさん




『そうか。貴様だったのか……』

少年が、ボソッと呟いたが、陽一の耳には届いていない。その為、陽一は、返事のない少年を不思議に思い首を傾げる。

いくら待っても返事がないので、心配になって声をかけようとした途端。



『死ねーーーーッ!!』

少年は、殺気を込めた言葉と共に、物凄い速さで陽一の元へ走る。そして、陽一の頭上よりも遙か高く跳び、殺意の言葉と共に刀を振り下ろす。

陽一は、慌てて竹刀を持った。迫り来る刀に太刀打ちする時間は無く、横へと間一髪に避ける。そして、少年と対角線上になるように間合いを開けた。

戦う態勢を整え、相手の様子を伺う様に竹刀を構える。すると、さっきまで座っていた所は、床が粉砕をしてシュウゥゥと音を上げて大きな穴が出来ていた。

「あっぶね!いきなり、何すんだ『くたばれーーーッ!』

襲いかかってきた少年に文句を言ようとするが、少年は隙を与えず容赦なく陽一に刀を振る。陽一は刀を竹刀で受け止め、力任せに押しのけて間合いを取る。

「なんなんだよ一体!初対面のお前に、そんな事を言われる覚えはない!」
『覚えがないだと……?貴様のせいで、俺は……俺はメリーとのパートナーを解消されたんだよッ!』

奥歯を噛み締め、悔しいそうな表情で陽一に刀を向ける。

『貴様が、メリーのパートナーを務められるわけがないだろ!だから死ねッ!』

少年は、容赦なく陽一の命を奪おうと攻撃をする。

「人を守る幽霊が、死ぬ事を望むなッ!てか言っとくけどな、ボスが勝手に決めたんだぞ!」

腹黒ウサギや少年と言い命を奪おうとする輩に、陽一は苛立っていた。さらに文句を言ってやろうと少年の顔を見ると、悔しそうな表情をしていた。まるで、恋人を盗られたかのように。

その様子を見た陽一は、自分が退治専門を選んでしまったせいで、少年に嫌な想いをさせてしまった。それを理解し謝ろうと口を開いたが、少年により言葉を遮られる。

『嘘をつくな!貴様が、メリーをそそのかしたんだろ?!だだでさえ、ボスはメリーに甘いんだ。
それを手に、メリーからボスに頼むように仕向けてパートナーになったんだろ?!とんだ卑怯者だな!』
「とんだねつ造だな!お前の脳みそ腐ってんぞッ!」

謝るどころか、とんだとばっちりを受けてしまった陽一。そして、ただいちゃもんをつけられているのだと分かり頭に血が昇る。