『……はははは!』


突然、ボスは腹を抱え、笑い出す。机にバシバシと手で叩いて、笑い続ける。


有奈とメリーは、訳が分からず、互い目を見あわせて首を傾げる。


陽一は、バカにされて笑われていると思い、眉根を下げる。


『あー…。俺の負けだ。いいだろ。G.S.Sに入るのを許可する』


ひとしきり笑い続けたボスは、「お手上げだ」と、肩をすくめて両手を上げる。


『G.S.Sには、成仏専門と退治専門がある。どちらを希望する?』


「もちろん、退治専門だ」


陽一は即答した。この質問は、陽一にとって愚問。ボスもそれを知ってて、わざと尋ねた。


『分かった。退治専門では、2人1組で動いてもらう。お前には、メリーとパートナーを組んでもらう。そして、夜から朝にかけて、メリーにお前の警護にあたってもらう』


「上等だ。それぐらい、受け入れてやるよ。そして、有名になってやるよ。自殺行為をするバカな奴じゃなくて、人も悪霊も救った英雄だってなッ!」


陽一は口の端を上げ、その瞳には絶対な自信が宿っていた。


これはもう、ギャンブルに近い危険な賭け。失敗をすれば、助かる保証も命もない。G.S.Sに居る幽霊たちは、陽一を哀れだと思うだろう。自ら命を投げ捨てるなんて…と。


しかし陽一は、命をかけたのではなく己のプライドと意地を賭けた勝負のつもりでいる。負けず嫌いの陽一の人生に、逃げるという考えはない。


そんな陽一の様子を見て、気付かれないようにメリーは深い溜息をつく。もう、陽一を止めることが出来なかったと悔しさを噛み締めるように、右手で左手の腕を掴み、気持ちを落ち着かせようとする。


有奈もメリーの様子を見て、気の毒そうに見つめた。