「元々、俺は幽霊なんか信じていなかった!だけど、ここ数日の出来事で認めたくない現実を受け入れた!危険だ?笑わせるな。そんなの今更じゃねぇか!」


陽一は胸に片手を置き、空を切るように言葉を発する。3人の心に直接響き渡る。


「G.S.Sに入ってやるよ」


予想外の陽一の発言に、3人は目を見開き驚愕する。


『貴方!自分が何を言って「邪魔するな」


メリーの言葉を低い声で遮り、陽一は強い意志を込めた瞳で言う。その瞳を見たメリーは、ひるみ何も言えなくなり大人しくなる。


『ボス!』


有奈は慌てた声で、ボスに呼びかける。ボスは、有奈の顔の前に手をかざし、慌てている有奈を落ち着かせる。


『ここからは、俺と織原の問題だ。口を出すな』


『しかし!『命令だ』……分かりました』


有奈は、大人しく後ろに下がる。


『何故、そんなことを言い出す?』


ボスは、陽一を問いつめる。陽一は、その言葉を待っていたかのように、口の端を上げる。


「俺の力に引き寄せられて、悪霊が集まるんだろ?その分、普通の奴が危険な目に遭わない。

それに、俺の力は、邪念があろうが無かろうが、悪霊に対して攻撃や防御が出来る。お前等にとっても、一石二鳥でいいだろ?」


陽一は自分の力を使って、ボスに取引をする。


陽一の言い分ももっともだ。退治専門の幽霊にとって、邪念は厄介な物。それに立ち向かう事の出来る力があれば、少しでも欲しいはず。それを、逆手に取った。


ボスは陽一の発言に、目を見開く。14年しか生きていない少年の口から、出てくる発言とは思えなかったのだ。


容姿は幼いのに、中身は頭がキレて、強い信念を持っている。そして、曇りのない凜とした表情と声。