メリーの後に付いていくと、今度は大きな場所に出た。

西館のよりも広く、東側の壁にアンティークな柱時計や絵画が掛けられている。

そして、ざっと数えて200人以上の幽霊たちが此処を占めている。


慌ただしそうに書類らしき物を持って、何処かへと急いでいる幽霊。


楽しそうに立ち話をしている幽霊。険しい表情で、掲示板らしき物を見詰めている幽霊。


この光景を見た陽一は、幽霊も人間も対して変わらないな、と心中でつぶやく。


『メリー先輩!』


背後から、慌ただしくメリーを呼ぶ声とバタバタと走る音が聞こえ、陽一たちは後ろに振り向く。


そこには、髪はおかっぱ風で、白の半袖のTシャツを着て、赤を基調とした吊りスカートを履いた小学生ぐらいの少女が居た。



『忙しい時に、ごめんなさい。さっき、“継承”されたんです!どうしてもメリー先輩にご報告したくて!』


少女は興奮状態で、メリーに目を輝せながら話す。少女の報告を聞いたメリーは、嬉しそうに少女に微笑み返す。