「ガッハハハ!やっぱり、わしを敬っとるな!照れなくていいのに!」
「黙れ!てめぇのそういうところ一番うぜーよ!」

武志が気を良くしたのか嬉しそうに陽一の背中をバンバン叩く。しかし、茶化された陽一は怒りに満ち溢れていた。

人を茶化すのとしゃべり続けるのを直してくれれば、自慢できるジジィなのにと、心の中でつぶやく陽一。

しかし、陽一のささいな願いは、武志により簡単に壊されてしまった。ただ、豪快に笑う武志を見て、陽一は重たい溜息をつく。

「たく。そんなんだから、生徒が増えないんだよ」
「ふん。最近の奴は、根性がないんだ!己に負ける奴が悪い」

武志は腕を組み、威張りながら陽一に言った最初の頃は、武志の腕前を知り30人以上の子供が入門した。

しかし、武志の厳しすぎる稽古と喋るマシンガンに耐えきれず、みんなは逃げ出してしまった。その結果、現在この道場には小学生7人しかいない。

「このままだと、みんな居なくなるぞ?」

この道場の将来を心配する陽一。

「それはそれで結構。やる気のない奴に、剣道など教えたくもない!」

武志の頑固な一点張りに、頭痛を感じ頭を抑える陽一。