あの日の朱雀





「ちょ…おま…」




朱雀は戸惑ってる。




「ご、ごめんなさっ…」




フワッ



暖かい翼が私を包んだ。




「ー…」



「よく分かんないけど…泣くな。俺は泣かれんのが一番こたえるんだ…。」




赤い朱雀に抱きしめられた。



落ちた傘がポツポツと音をたてた。




「ーっ」




私は朱雀の声を無視して、大声で泣いた。



朱雀の翼にすがりついて。



夜の静寂を切り裂くように。