「昔ね、あいつ女がいたんだよ。」




私の体がピクッとはねた。




「今はなんもないよ?でもね…当時は今の夕空みたいに…本当に
大切にしてたの。その子のこと。でもね…その子、浮気したの。」



「…」




私は何もいえなかった。




「朱雀もその頃はバカやってたからね。その事をキッカケに、結構派手に暴れてさ。あたしが止めて、どうにかなった
んだけど。」




ペットボトルのお茶を飲み干したお姉さん。




「あいつもさ、二度とそんな思いはしたくないと思うんだ。あいつの事
ばっか味方するんじゃないんだけど
…なんていうか…兄弟だから、さ。」




ハハッ、と笑ったお姉さん。




「あいつの事…ずっと…スキでいてやってくれる?」




照れくさそうに笑うお姉さん。




「…はい。」




私は静かに返事をした。



朱雀さん…