「じゃあ、帰るか…って、ん?」 水斗は止まる。 氷華が、右手を差し出してきたから。 「え、これはどういう…」 「ん」 氷華は水斗を見ないでさらに右手を突きつけてくる。 ああ、と水斗は思った。 「こういうことですか、お嬢さん」 水斗はその手と自分の手をつなぎ合わせた。 氷華を見ると、顔は相変わらずこっちを向いていないが、耳まで真っ赤なのがよく分かる。 「氷華…」 「うるさいわね。さっさと行くわよ」 「…はいはい」 そう言うと、2人は歩き出した。