「あ、多季ちゃん、またコケてる」
「なんかそんなとこも可愛いよなー。自然体? な感じで」
「わかるわかるー」
そんなことを話す男子たち。
「多季ちゃん可愛いなー…俺のストライクゾーン」
大輔も例外ではなかった。
「何言ってんだ大輔」
水斗は呆れた顔で大輔に言った。
「なんで多季ちゃんじゃなくて氷華なんだよー。お前、絶対人生損してるぞ」
「ちょっ…普通に言うなバカ!」
そんな水斗を、氷華は無意識のうちに見ていた。
(何しゃべってんのかなー…よく聞こえない…)
気づかぬうちに、話していることを聞こうとしていた。
そして、気づく。
(な、なんでアイツのことなんか見てんの!? わ、わたしのバカ!)
1人で焦る。
すべては、大輔が好きなタイプとか聞いてきたからだ。
妙に意識してしまう。
「……バカ」
「えっ? わ、わたしのこと…?」
「え?」
となりで悲しそうな顔をする多季を見て、氷華は慌てて否定する。
「ち、違うって! な、なんでもないの。こっちの話」
「そっか。ならよかったー」
あー、大輔のバカ。
心の底からそう思い、大輔を思いっきり睨んだ。
「なんか殺気が…」
「お、お前、大丈夫か?」
大輔は1人身震いしていた。

