随分遠くまで走った。 靴を履いていないあたしの足は、そろそろ限界だった。 「ここまで来れば大丈夫だろ」 そんな足の痛みさえ気にならない程、あたしは目の前の人物に驚いている。 なんで… なんでいるの…? 「秋桜」 柔らかい声で、あたしの名前を呼ぶ。 胸がぎゅっと苦しくなる。 「……理音」